文房四宝plus 第2回  「ナイロン筆の可能性」

こんにちは!さて、今回のテーマはタイトルの通りです。

説明は必要ないのかもしれませんが・・・「ナイロン」とは化学繊維の一つです。

そして、それを筆の材料としたものが「ナイロン筆」ということになります。

この「ナイロン筆」というのは、絵画やデザインの世界だと比較的メジャーな筆だと思います。

ところが、書道の世界ではマイナーな存在である気がします。

書道用品店で、この「ナイロン筆」が大きく宣伝されたり、ベストセラー商品に指定されている

ことは稀だと思います。書道の毛筆では、ほとんどが動物の毛を使ったものが多く、ナイロンの

ような化学繊維を使われた筆は少ないのです。あったとしても、初心者や学童用に動物の毛と

混ぜて合わせてつくられた毛筆(分かりやすいように「ナイロン混合筆」と呼ばせていただきます)

ばかりで、中級者から上級者の求めに応じられるものがありません。



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(上写真は上級者向きの羊毛筆。この羊は中国に生息する山羊のことを言います。)




それは一体なぜか・・・?

これは僕の所感ではありますが、「ナイロン」の特徴は強い弾力だと思います。

そのおかげで、穂先(筆の先)が利きやすいので、毛筆に不慣れな初心者や学童用に選ばれる

のだろうと思います。しかし、その強い弾力は文字を書く際における微妙な力加減を穂先に

伝えるのには不向きなのかもしれません。動物の毛を使った筆が5段階の力加減で書けるのだと

したなら、ナイロンは3段階ぐらいしかないように感じます。

そのため、初心者には操作(書道では運筆という)が楽なのですが、

玄人好みの微妙な力加減が難しい傾向にあります。

つまり、ナイロンは微妙な力加減ができないという難点があるのです。

他には、水含み(書道の場合は墨含み)が悪いという点も見逃せません。

そういった理由から、書道用毛筆の素材にナイロンが積極的には使用されないという訳です。


しかし、僕はこのナイロン素材・・・いえ、化学繊維に一つの未来と可能性を見出しています。

「上記のような理由があるのに?」

そういう声も聞こえるかと思います。しかし、その難点は克服できることだと思います。


僕は以前に絵を描く勉強もしていましたが、アクリル絵具で描く際にはナイロン筆を使っていました。

アクリル絵具は乾燥が早く、動物の毛を使用した筆には負担がかかりやすい画材なので、ナイロン筆

を好んで使っていたのです。ところが、このナイロン筆は従来のナイロン筆とは一味違っていたのです。

それは、従来のナイロンに改良を加えている画期的な化学繊維の筆だったのです。




その筆は水含みも良かったし、穂先の揃い具合も良い、良質な絵筆でした。

技術の進歩はスゴイ!そう思います。現在は、この手の改良型ナイロンが幾つかあるようです。


だから、「書道用毛筆にも専用の改良型ナイロンがあれば良いのではないか?」と考えています。

水含み(墨含み)の問題は改善に向かっているし、弾力だって改善の余地があるはずです。


例えば、動物の毛を徹底的に分析し、構造の秘密を明かし、なぜそのような特徴があるのかを調べれば

動物の毛と変わらない特徴をもった化学繊維を使った筆(「化学繊維筆」と呼ばせていただきます)を

実現できるのではないでしょうか。


「だったら、最初から動物の毛を使った筆を使えばいいじゃない」


その通りです。

ですが、僕は「化学繊維筆」を使いたい理由があります。

僕は書道で使うのは「墨」だけとは思っていません。言葉(文字)を書くという表現方法で表現したのが書

だと思っているからです。だから、目下アクリル絵具を使用して書の作品をつくることを計画しています。

先に述べた通り、アクリル絵具は動物の毛を使用した筆には負担が大きい画材です。その理由は、

アクリル絵具を構成するのは、簡単に言えば「顔料」と「接着剤」です。この「接着剤」が動物の毛には

負担が大きいのです。つまり、「化学繊維筆」を求めるのは筆を大事にするが所以です。

そして、高度な表現を求めるならば、それに応えてくれる筆も必要になって来ます。


おそらく、アクリル画具などを使いたいと思っている書道愛好家は少なくないのではないでしょうか。

そういった理由で書道用「化学繊維筆」の進歩を願っています。


少し脱線しますが、「墨」は「接着剤」が「ニカワ(ゼラチンのこと)」なので、動物の毛には負担を

かけません。でも、これは固形墨(硯で磨る必要がある墨)の場合で、ボトル式の液墨はアクリル絵具と

同じような「接着剤」が使用されていることがあります。ある意味、液墨にも「化学繊維筆」は必要かも

しれません。液墨で習字をしてきた方々は、筆の穂先がすぐに割れた経験はありませんか?

それらは、筆の洗い方にも左右されますが、液墨に含まれる接着剤が原因で起こる事も多いのです。



ちなみに絵具で言えば、日本画に使われる岩絵具や水干絵具も「ニカワ」を使うため、毛筆への負担が

少ない画材だと思います。とはいえ、日本画の絵具は重ね塗りをすることで発色が良くなる画材です。

書のように、一回で書く(重ね塗りをしない)表現の場合では発色が良くないので、書で使うべきかは

意見が分かれるところでしょう。



話を戻します。

「化学繊維筆」には、もう一つ可能性があります。

それは既存の動物の毛の特徴を模倣する他に、既存の動物の毛の特徴とは全く違う特徴も生み出せる

ということです。分かりにくい言い回しですが、つまり・・・現在の毛筆は「馬」や「山羊」、「牛」

変わったところでは「猫」や「マングース」の他、鳥類の「羽毛」なども筆の材料になります。


それぞれには特有の特徴がありますが、それらのどの特徴にも属さない繊維を合成できたなら・・・

新しい特徴をもった毛筆も作れる可能性があるのです。



書においては、書風を変える手っ取り早い方法の一つに、筆を変える・・・変わった筆を使うという

方法があります。これは、筆の特徴が作品の印象にダイレクトに作用するということでもあります。


音楽でも、同じ楽曲なのに楽器を変えるだけで印象がガラリと変わったりしますよね!

例えば、バイオリン曲をピアノで演奏してみるとか・・・沢山の好例があります。


特に音楽で言えば、シンセサイザーの登場が大きく音楽史に影響を与えたと思っています。

シンセサイザーは従来の楽器とは、明らかに違う音も生み出せるようになったはずです。

つまり、自然界に存在しない音も演奏できるようになったということです。

これも科学技術の進歩から生まれた発明だと思います。


だから、もし・・・これまでに書において経験したことのない特徴を持った筆が存在したならば

これまでと違った書が生まれてくる可能性もあるということです。

そうなったら、表現の幅が大きく広がるのではないでしょうか。




「化学繊維筆」は音楽にとっての「シンセサイザー」のような存在になれるかもしれない。

僕はそう思います。



これは僕の印象ですが・・・ただ、一つだけ問題があるとしたなら・・・

実際に毛筆を製造してくださる職人さん、製造元の方々が「化学繊維」に対して

少し消極的なのではないか?ということです。



実際に書道用に「ナイロン混合筆」は沢山あっても、化学繊維をメインに使用した毛筆は少ないでしょう。

たまに、ホームセンターに看板の文字書き用の「ナイロン筆」が売られているのは見かけます。

しかし、書道用として売られているものは極めて少ないはずです。


この化学繊維というものは、科学技術によって生まれた素材です。

そして、科学技術というのは研究をしたり努力しないと進歩しないものだと思います。

だから、積極的に研究したり商品化しないと進歩も可能性もありません。

「現在」のナイロン筆は確かに、書道用としては不満足なものでしょう。

書家にとっても、筆職人さんにとっても・・・

けれど、だからこそ「未来」のナイロン筆を考えてみてもよいのではないでしょうか。

もしかしたら・・・

書家も筆職人さんも驚くような新素材が、今も発明されるのを待っているのかもしれません。




未来の「化学繊維筆」

それを今回の文房四宝plus 第2回 のテーマである「ナイロン筆の可能性」として

発信させていただきました。



毛筆は消耗品とされていますが、もしかしたら未来の化学繊維筆はリサイクル可能

になっていたりして!

あとは、筆軸はカラーバリエーション12色が展開、穂先は好みの材質に変更可能!

ついにはコンピューター内蔵・・・とかね(笑)

「フューチャーナイロン筆」なんて、素敵だなぁ。



あと、筆を良くする前に腕も磨かなくちゃね!



文房四宝plusの第3回は「新技術?国際化?硯の行く末」を予定しています。

「文房四宝に未来をプラス!、次回は何時になるかわかりませんが、お楽しみに!」

文房四宝について知りたい方は図書館やインターネットで調べてみてください。

奥が深いですよ!



ここまで、長々と拙い文章を読んでくれた人がいたなら感謝感激です。

独り言のような発信ではありますが(笑)

貴重な時間をありがとう。





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by sho-doit | 2015-12-23 16:30 | 気まぐれ発信

りそや しょう です!「カワイイ書道ってなんだ?」をメインテーマに、みちのく秋田県からイマドキ系書道アートを発信中です!


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